世界を変えるブロックチェーンの利用事例10選

ブロックチェーン技術は仮想通貨と密接に関係していますが、この技術を活用したものは仮想通貨だけではありません。世界を見渡すと、ブロックチェーン技術が活用されている利用事例が多くあることに気付かされます。世界中で、多くの企業や開発者がブロックチェーンを活用し、かつての技術もしくはシステムの改善に努めています。現時点で開発が進む利用事例はさらに多くあり、そのほとんどが世界を変える可能性を有しています。仮想通貨以外で世界を変える10の利用事例を紹介します。

スマートコントラクト

スマートコントラクトの議論なしに、ブロックチェーン活用の議論は成り立ちません。スマートコントラクトは伝統的な契約手法を改良したもので、自動的に契約が履行されことで、安全なデジタル取引を可能としたものです。スマートコントラクトの人気が高まるにつれて、利用しやすくなる可能性も高まります。取引仲介人を置く必要性が減ることで、契約の安全性が高まり、同時にコストと時間を減らすこともできます。

デジタルアイデンティティ

自らの身元を証明することは銀行取引から旅行まで、日々のあらゆる取引で必要です。ブロックチェーンは不変性を有しており、ハッカーの攻撃に対して強固なデジタルアイデンティティを提供することが可能です。ブロックチェーンを基盤としたデジタルアイデンティティを適切に利用することで、もう山のような書類を提出して自らの身元を証明する必要はありません。必要なもの全てがすでにブロックチェーンの中にあるからです。また、デジタルアイデンティティは、災害リスクにも強く、火事の時に貴重な身分証明書を紛失することはありません。デジタルアイデンティティの利用は、危険な状況から逃れる最中に重要な身分証明書を失ってしまった難民に対しても有用です。

電子投票

不正リスクにさらされることなく安全に選挙を行う方法に関して、一致した意見はない、というのが通説でした。特に電子投票に関してはそうです。不変性を有するブロックチェーンがこれに変化を与える可能性があります。この性質のおかげで、投票の削除や改ざんを不可能にすることができます。また、他人による投票や二重投票も不可能になるでしょう。ブロックチェーンを活用すると、得票数の集計処理が自動で行われ、迅速化に繋がります。

ヘルスケアデータの簡素化

ブロックチェーンの活用で、デジタルアイデンティティだけでなく、ヘルスケアに関する情報も安全に保管することができます。現在、患者のデータは様々な医療機関に保管されますが、それぞれが紐づけされておらず、共有もされていません。その結果、患者が医者を変えるとき、患者は多くの時間を割いて病状やその他の記録を記載しなければなりませんが、そうすると重要な情報が抜け落ちる可能性があります。しかし、ブロックチェーンを使えばこうした問題を解決することができます。ブロックチェーンの暗号化技術により、安全な形で全ての健康情報を保管でき、ハッカーの危険からも守られます。また、医者にとっても、患者の情報の保管や共有といった不効率な作業を削減することができます。

サプライチェーン・マネージメント

ブロックチェーンの可能性に関してかなりの熱が注がれている領域の一つがサプライチェーン・マネージメントです。元来、サプライチェーン・マネージメントは透明性を欠いていますが、ブロックチェーンを活用すると、多くの利害関係者が不変性を持つデータベースへアクセスできるようになり、不透明性の問題を解決できます。データベース内にある全取引を変更することは不可能です。また、タイムスタンプを有することから、記録の追跡が可能になります。ブロックチェーンは、書類仕事を減らし、コストを下げ、法令遵守を向上させるだけでなく、盗難や偽物を減らすことができるなど、サプライチェーンの透明性を向上させること以上のことも可能です。また、美術品偽造の危険性を減らし、食品の安全性を向上させるのにも役立ちます。

非流動性資産のトークン化 (トークナイゼーション)

ブロックチェーン技術は、仮想通貨だけでなく、様々な種類の資産のトークン化にも活用可能です。 これには、芸術品、住居用あるいは商用の不動産、中小企業の取引など、非流動性を有する伝統的な資産も含まれます。こうした資産のトークン化については、一見それほど重要なことではないかもしれませんが、その影響は広範囲に渡ります。トークン化によって、小口投資家のような資金を多く持たない人々でも、これらの資産に投資できるようになります。また、資産の多様性が増し、流動性の向上にも繋がります。

エネルギーの分散化

ブロックチェーン技術は、市場の分散化を行うことができる点で、エネルギー市場においても大変有用です。元来、エネルギー市場は一握りの企業により支配されていますが、ブロックチェーンによって、その必然性はなくなります。ブロックチェーンを活用すると、個人所有のソーラーパネルの発電量を計測でき、それを人々の間の取引し、その決済することも可能です。ブロックチェーン通じて、他の製品のように電気の取引ができるようになると、価格は市場の需要に応じて変動し、コスト削減と同時に効率性を向上させることができます。

ゲーム内での取引とアイテム所有の簡素化

ブロックチェーンの活用はゲーム業界の拡大にも繋がります。現在、少額取引やゲーム内での購入が増加しています。具体的には、ゲームやスキン、拡張パッケージなど複数のデジタルアイテムを所有する人が増えています。しかし、ハッカーによるアイテムの盗難や、ゲームサーバーに問題が発生すると、購入したものを使うことができなくなります。ブロックチェーンと紐付けることで、ゲーマーがそうしたアイテムを失うことなく使うことができます。また、ゲーム内でのアイテム購入を即時に行うことが可能となり、また、盗難や複製リスクに侵されることなくアイテムを送付することも可能になります。

簡易で透明性のある資金集め

慈善団体や非営利団体、あるいは営利企業であっても、資金集めを必要とする場合、ブロックチェーンを活用すると多くの利点を享受できます。ブロックチェーンは既にICO(イニシャル・コイン・オファリング)に使われており、富裕層に限ることなく、一般人でも仮想通貨への投資が可能となっています。これを、募金や取引の透明性を必要とする慈善組織のような他の組織にも拡大させることも可能で、詐欺行為を減少させるために監査をすることができます。

分散型クラウドストレージ

ブロックチェーン技術を分散型クラウドストレージに活用することも可能です。ここ数年でクラウドストレージの利用が急拡大していますが、これ自体が複雑な要因を生んでいます。もしファイル保管のために利用している会社が業務を終了したらどうすべきか?サーバーがオフラインになったらどうすべきか?こうした場合、ファイルへアクセスできなくなり、同時に、ハッカーがファイルへアクセスできるようになる危険性もあります。ブロックチェーンを活用すれば、複数サーバーを使う分散型クラウドストレージによって、これらの問題が解決します。もしひとつのサーバーが一時的または永久的に障害に陥ったとしても、データは失われません。ストレージの分散化により、ハッカーの侵入もさらに難しくなります。

結論

革新的なプロジェクトが次々と考え出されるにつれて、ブロックチェーン技術の活用は右肩上がりになることでしょう。上記の利用事例に加えて、絶滅種の保護や、難民の救援、徴税、コンピューターセキュリティーの向上、車両の走行履歴など、ブロックチェーンを使ったプロジェクトはまだ多くあります。使用事例には限りがなく、どのような未来が待っているのか想像は尽きません。

出典:

https://medium.com/bitfwd/top-5-most-compelling-use-cases-for-blockchain-technology-d198e500e3d3

https://www.mycryptopedia.com/16-promising-blockchain-use-cases/

https://blocksdecoded.com/blockchain-applications-use-cases/

https://hackernoon.com/10-uses-for-blockchain-that-will-change-the-world-c5b96cf7c976